2025.01.06
あけましておめでとうございます
1月に写真展を2つ開催します。寒い時期ですが暖かくしてお越しくださいませ。

◎頭山ゆう紀展|残された風景
会期:2025年1月11日(土)ー2月23日(日)
時間:水曜ー日曜 13:00-18:00
休廊:月・火・祝 (2月23日 祝日 は特別営業)
*イベント開催のため営業時間の変更の場合があります。詳しくはPOETIC SCAPEの各SNSをご覧ください。
協力:赤々舎
POETIC SCAPE
東京都目黒区中目黒4-4-10 1F
◉オープニングレセプション
日時:2025年1月11日(土)18:00-20:00
2025年1月11日より2月23日まで、POETIC SCAPEでは初となる頭山ゆう紀の個展 『残された風景』を開催いたします。
頭山はこれまで『境界線13』をはじめ、大切な人の生と死、喪失、不在や、目に見えないものを写真にとどめるように制作を続けています。近年では「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023」にて石内都との二人展「透視する窓辺」を開催し、ますますその活動が注目されています。
『残された風景』は頭山が祖母の介護の合間に撮影した風景写真と、祖母に寄り添うような目線のモノクロ写真で構成されたシリーズです。
頭山は幼い頃から頻繁に祖母に会いに行き「お喋り好きでお洒落、何よりも理解力のある人だった」(『残された風景』テキストより)と述べるほど、祖母とはまるで友人のような近しい関係でした。2020年9月、末期の癌と診断された祖母の在宅介護を頭山は自ら引き受け、これまでお世話になった恩返しがしたいと献身的に尽くしますが、次第に思うようにいかない介護や終末医療の現実に直面することとなります。そんな日々のわずかな時間に写真を撮ることで、救われたり気持ちを切り替えることができたと頭山は語ります。
本展の核となるモノクロ写真は、祖母が亡くなる一ヶ月ほど前から撮影されたものです。この撮影は、頭山が介護を続ける毎日のつらさに家を飛び出したある時、ロバート・アダムスの写真集「This day」を見たことがきっかけでした。日常風景を新たな視点で捉えた作品にあらためて感銘を受け、家から一歩も出られず幻覚も見るようになっていた祖母に少しでも寄り添いたいという思いで、窓からの風景を撮ることとなります。ここでの撮影は他者へのケアの役割を担っているといえるかもしれません。
写真というミディアムを用いて他者の死や不在について問う作品は、歴史的にも数多く存在します。本作もその系譜に連なり、亡くなった祖母との対話を試みるように編まれていますが、祖母の姿は登場しません。頭山が見ていた日々の風景と、祖母の目線を想像しながら見つめた風景の写真ばかりが並びます。それは介護をする・されるという近い距離で暮らす二人が、実際には異なる時間を過ごし別のものを見ていたこと、また、祖母にカメラを向けることができなかったという頭山のまだ顕在化しない意識が感じられます。
そして写されなかったことでより強く感じられる「不在」は頭山と祖母の間だけではなく、より大きく、普遍的なテーマへと広がりを見せることを予感させます。

◎頭山ゆう紀 写真展「In fog」
2025年 1月22日(水)〜 2月22日(土)
16:00 ~ 22:00
定休日:日・月・火
*1drink order
スタジオ35分
中野区上高田5-47-8
◉オープニング レセプション:1月22日(水)19:00〜22:00
スタジオ35分の2025年の最初の展示は頭山ゆう紀 写真展 「In fog」で始まります。
2023年に群馬県立近代美術館で発表された本作品は群馬県にある榛名湖で撮影されました。
古くは『万葉集』や『古今和歌集』の中で「伊香保の沼」として詠まれた榛名湖は多くの和歌や文芸作品の題材になってきました。
榛名湖の湖畔には「御沼龗(みぬまおかみ)神社」が祀られていて、これは戦国武将の妻(姫)が榛名湖に入水して転生した龍神(または蛇神)を祀っているとされています。この神社の近くに1ヶ月ほど滞在していた頭山はこの伝説に惹かれ、榛名湖の水中の撮影を行いました。
滞在先に暗室を作り、そこで自家現像・プリントをしながら出来上がったのが本作品となります。
本作品は美しい蛇腹製本の写真集としても纏められましたので、ご来場の際にはぜひ手に取って、ご高覧ください。
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榛名湖アーティストレジデンスに滞在する直前に母が突然亡くなった。
普段通りに過ごして多様な場面で母を想うより、環境を変えて生活をした方が心を誤魔化せると思い、母の死を受け入れないまま滞在を始めた。
榛名湖は霧が広がる静かな景色だった。
榛名湖には木部姫や渋川公夫人が入水し大蛇や竜になるという伝説がある。
湖の中の生と死の間のようなものが見たいと思い、水中カメラで湖の中を撮影した。
ネガ現像、暗室でのプリント作業と時間をかけて写真と向き合い、湖の中を立体的に粒子で表していく。
写真は目に見えない気配を写し、母の不在を現実にする。
時間はただ過ぎていき、母との記憶は鮮明になる。
榛名湖の霧の中、湖を眺めながら母の不在と過ごした。
頭山ゆう紀
2024.10.05
残された風景、In fog
2冊の写真集を出版します。

ひとつめは赤々舎より「残された風景」を刊行します。
http://www.akaaka.com/publishing/Scenes-of-Absence.html
KYOTOGRAPHIE 2023でも展示したこの作品を改めて説明すると、コロナ禍に祖母を介護していた時の作品で、わずかな買い物時間に近所を撮影したカラー写真と、介護がうまくいかず少しでも祖母に寄り添えないかと祖母目線で部屋の窓から庭を撮ったモノクロ写真、この2つの視点から構成されています。
祖母が亡くなり介護への疑問が残った私にはこの写真が手元に残り、お互いの過ごした時間の違いや、ケアについて考えるきっかけになりました。
私自身まったくわかっていなかった介護について少しでも何か残せないかと思ったし、流れていく時間の違いについて表せないかと考えました。そして言葉とは離れて純粋に写真として観てほしい風景でもあります。
じっくり読める写真集にしたかったということと、たくさんの人に観てほしいという思いから赤々舎の姫野さんに相談し、デザインは前からお願いしたかった細やかで美しいデザインの須山悠里さんにお願いしました。
ふと読み返したくなるような本になるといいなと思います。

もう1冊は自費出版で、「In fog」という榛名湖アーティストレジデンスに約1ヶ月間滞在して制作した作品の写真集です。
https://pianoandforest.stores.jp/items/63f0626393f6196af31c889e
榛名湖の霧の白さや、入水伝説が多々ある湖の中への興味は、滞在直前に急死した母の不在と重なり、生と死の間のような曖昧なものを撮りたいと思うようになりました。
水中カメラで榛名湖の中を撮影し、レジデンス内に作らせてもらった暗室でネガ現像とプリントをし、時間をかけて集中的に写真と向き合って作った作品です。
滞在時から構想していた蛇腹製本もとても良い仕上がりになりましたのでぜひお手に取って楽しんでいただければと思います。
群馬県AIRプロジェクトに推薦してくださった片山真理さん、とても長い時間根気強く寄り添ってくれたデザイナーの宮本摩耶さんに改めて深く感謝いたします。
*どちらの写真集にもプリントセットがありますので、オリジナルプリントをご購入されたい方はご検討くださいませ。
《残された風景 プリントセット》
http://www.akaaka.com/publishing/Scenes-……sence.html
《In fogプリントセット》
https://pianoandforest.stores.jp/items/669d085c5db91406ef04fdd3
2023.03.20
Harper’s BAZAAR 5月号

3/20発売のHarper’s BAZAAR 5月号に石内都さんとのインタビューが5ページほど掲載されています。
石内さんとの出会いから今回のKYOTOGRAPHIEまでの経緯や新作の話などなどしています。

2023.03.10
KYOTOGRAPHIE 2023

KYOTOGRAPHIE 2023で石内都さんと展示をします。
私は15年前の作品「境界線13」から家族を中心にセレクトしたものと、祖母の介護中に撮った新しい作品を展示します。
誉田屋源兵衛 竹院の間という帯屋の特殊な空間で、石内都さんの「Mother’s」との展示は、時空を超えた新たな発見があるかと思います。
ぜひお越しください。
*
KYOTOGRAPHIE 2023
2023.04.15 Sat – 05.14 Sun
A dialogue between Ishiuchi Miyako
and Yuhki Touyama 「透視する窓辺」
会場: 誉田屋源兵衛 竹院の間
2023.02.08